SaaS営業

未経験からSaaS営業に転職できる?職種/給料/キャリアパスまで徹底解説

Kentaro Takahashi

Salesforce.comにてSMB向けのSaaSアプリケーション群のエバンジェリストに従事。SalesforceWorldTourTokyo2019登壇・ウェビナー主催、登壇多数。その後IT系ベンチャー企業で事業責任者、執行役員を経て独立。


元SaaSエバンジェリストの筆者
この記事ではSaaS業界でエバンジェリストとして3年間活動してきた筆者が未経験からのSaaS営業転職について徹底解説します。
SaaSに関する基本的な内容から、未経験で募集の多い職種・具体的な企業の選び方もまとめましたので最後までご覧ください。

この記事を読んで分かること

  • SaaS業界の基本情報
  • 未経験で募集の多いSaaS営業の職種は?給料とキャリアパスは?
  • 未経験からSaaS営業に転職するために必要なスキルは?
元SaaSエバンジェリストの筆者
結論、未経験からSaaS営業にキャリアチェンジすることは可能です。それは、SaaSの需要が右肩上がりで増えており、成長に伴い積極的な人員募集が行われているからです。SaaS営業について知る前に、なぜSaaSが今求められているのかについて見ていきましょう。

SaaSとは

SaaSとは、ソフトウェアをクラウド上で提供し、インターネット経由でアクセスして利用するサービス。Software as a Serviceの略です。

SaaSの主なメリットは以下です。
SaaS営業を目指す上で抑えておきたいポイントなので、この機会にチェックしてください。

  • コスト削減:従来型のソフトウェアに比べ、導入コストや運用費が抑えられる。
  • 柔軟性:顧客が必要な機能や規模に応じて、サービスを選択・変更できる。
  • 利便性:インターネットがあれば、いつでもどこでもアクセス可能。
  • イノベーションの提供:SaaS企業は顧客ニーズに素早く対応し、新しい機能やサービスを提供できる。
元SaaSエバンジェリストの筆者
これらのメリットによって多くの企業が利用を検討しており、結果SaaS業界は右肩上がりに伸びています。ここからは、SaaS業界の動向を見ていきます。それによって、なぜ未経験でもSaaS営業にキャリアチェンジすることが可能なのかが見えてきます。

SaaS業界の動向

成長するSaaS市場の規模

2020年には全世界のSaaS市場は約1000億ドルで、2022年には約1400億ドルに達すると予測されています。予測通り成長すれば2018年から2022年までの年間成長率が約18%となります。

日本のSaaS市場

日本国内のSaaS市場は2020年に約1兆円と言われており、2024年には約1.6兆円に達すると見込まれています。予測通り成長すれば、2019年から2024年までの年間成長率は約10%となります。

増え続けるSaaS企業

2019年から2020年の間に、全世界で約2000社以上の新しいSaaS企業が設立されていると言われており、日本でもSaaS企業の数が増加しています。

SaaS営業の求人数の増加

上記のようなSaaS市場の拡大に伴い、日本国内でもSaaS営業の求人数が増加しており、未経験者でもチャンスがある分野となっています。
求人サイトIndeedのSaaS関連求人は、2020年に約5000件から2022年には約7500件と約1.5倍程度に増加しています。*1

元SaaSエバンジェリストの筆者
SaaS市場の右肩上がりの成長により、次々と新しい企業が誕生、その結果求人数が増加しており未経験者にもチャンスが回ってきている状況と言えるでしょう。

SaaS営業の仕事内容

  • 新規顧客獲得: SaaS営業では、新規顧客を獲得するために電話やメールでのアプローチや、イベント参加、SNS活用などを行います。
  • クロスセル・アップセル: 既存顧客に対し、追加サービスやプランの提案を行い、顧客満足度向上と収益最大化を目指します。
  • 長期的な顧客関係構築: 顧客の長期的な成功をサポートし、継続的な収益を生み出すため、信頼関係を築き、定期的なフォローアップやサポートを行います。
元SaaSエバンジェリストの筆者
このようなSaaS営業に未経験からキャリアチェンジする際、具体的にはどのような職種があるのでしょうか?

未経験で募集の多い職種と年収

インサイドセールス

  • 年収: 400万円~600万円 (経験や業績による)
  • 職務内容: 電話やメールでの営業活動、新規顧客獲得、既存顧客とのリレーションシップ構築
  • 求められる経験やスキル: 基本的なコミュニケーション能力、営業マインド、学習意欲、CRMツールの使い方

カスタマーサクセス

  • 年収: 350万円~550万円 (経験や業績による)
  • 職務内容: 顧客サポート、問題解決、アップセルやクロスセルの提案、顧客満足度向上
  • 求められる経験やスキル: 顧客対応の経験、問題解決能力、プロダクト知識、リレーションシップ構築力

フィールドセールス

  • 年収: 450万円~700万円 (経験や業績による)
  • 職務内容: 既存顧客との長期的な関係構築、顧客ニーズの把握、新規ビジネスチャンスの開拓
  • 求められる経験やスキル: 営業や顧客対応の経験、交渉力、業界知識、戦略的思考力
元SaaSエバンジェリストの筆者
ITや無形商材の法人営業経験が3~5年以上あり、成績を残している場合はフィールドセールスで採用されることもあります。職種も業界も未経験であったり営業経験が少ない場合はインサイドセールスもしくはカスタマーサクセスからキャリアをスタートする場合が多い傾向にあります。

SaaS営業のキャリアパスと年収推移

IT業界未経験からのSaaS営業のキャリアパスの具体例を見てみましょう。

インサイドセールス(0-2年目)

年収 400万円~500万円
未経験からインサイドセールスに入り、電話やメールを使った営業活動を通じて営業スキルや業界知識を習得します。

インサイドセールスシニア(2-4年目)

年収 500万円~600万円
経験を積んで成果を上げることで、シニアインサイドセールスに昇格。より大きな取引や複雑な案件を担当し、フィールドセールスへの移行を目指します。

フィールドセールス(4-8年目)

年収 600万円~800万円
インサイドセールスでの経験を活かし、顧客と対面での営業活動に移行。大口取引や戦略的な提案を行い、成果に応じたインセンティブが加算されます。

フィールドセールスマネージャー(8-12年目)

年収 800万円~1,000万円
成果を上げ続け、フィールドセールスチームのマネージャーに昇格。チーム全体の売上目標や戦略を立て、メンバーを指導・育成します。

セールスディレクター(13年目以降)

年収 1,000万円~1,300万円
セールスディレクターとして、地域や業界を担当し、戦略的な提案やビジネス展開を行い、さらに高い報酬が得られます。

元SaaSエバンジェリストの筆者
このキャリアパスは一例ですが、インサイドセールスからスタートして徐々にスキルと担当領域の難易度を上げながら、それに伴って給料が上がっていくケースが一般的なキャリアパスであると言えるでしょう。なお、年収は企業規模や属性・ポジションによって異なるので参考としてご覧ください。

未経験でSaaS営業に転職する際に求めらるスキル

コミュニケーションスキル

顧客との関係構築や問題解決に役立つため、採用される確率が高まります。具体的には、聞き手の立場に立った対話や、効果的なプレゼンテーションが求められます。

基本的なIT知識

SaaS営業では、顧客に対して製品の機能や価値を説明するため、基本的なIT知識が必要です。例えば、クラウドコンピューティングやAPI、データセキュリティなどの概念を理解していることが求められます。

営業スキル

未経験者でも、過去の職歴や趣味での営業経験があれば、採用されやすくなります。具体的には、営業プロセスの理解、顧客対応力、クロージング力などが求められます。

プロジェクト管理能力

SaaS営業では、複数の案件を同時に進行させるため、タスク管理やスケジュール管理が重要です。効率的に仕事を進め、顧客に満足してもらえるようにするために、プロジェクト管理能力が求められます。

自己学習能力

SaaS業界は日々変化するため、新しい技術や市場動向を学び続けることが重要です。自己学習能力が高いと、状況に適応しやすく、仕事の成果も向上します。

英語力(外資系の場合)

外資系企業や、海外展開を行っている企業では、英語力が求められることがあります。特に、英語でのコミュニケーションスキルや、ビジネス英語力が重要視されます。

元SaaSエバンジェリストの筆者
基本的ビジネス力の高さに加えて、変化に柔軟に対応する力、絶えず自己学習を行い最新テクノロジーや自社製品のアップデート、顧客の情報の変化をキャッチアップしていく力が求められます。しかし、求められる水準は高いとはいえ、ここまで見てきたようにSaaS市場が伸び続けており未経験にも求人が開かれている今が、SaaS営業へのキャリアチェンジの大きなチャンスと言えるでしょう。

未経験からのSaaS営業の企業選びのポイント

①企業規模で選ぶ

  • 大企業:安定した環境で働くことができるが、入社難易度が高い、入社後も激しい競争がある傾向がある。
  • 中小企業:柔軟な環境で働き、幅広いスキルを習得できるが、給与面は大企業に劣る傾向がある。
  • スタートアップ:自由で変化の激しい環境で働き、裁量も大きいが、安定性と給与面は上記2者に劣る傾向がある。

②提供サービスで選ぶ

  • CRMやERPなどの基幹業務系サービス:企業向けの大規模な取引であり、高い営業スキルを身につけることができる
  • マーケティングオートメーションやHR Techなどの業務支援系サービス:様々な業界の顧客と取引があるため、幅広い業界知識を身につけることができる
  • クラウドストレージやシステム開発などのITインフラ系サービス:技術的な知識が求められるが、専門性が高く市場成長率も高い

③研修制度やサポート体制で選ぶ

  • 未経験者向けの研修制度が整っている企業:基礎から学ぶことができ、安心してキャリアをスタートさせられる
  • メンターや先輩のサポートが充実している企業:実践的なアドバイスやフォローが受けられ、成長を加速できる
  • 自己学習やスキルアップの機会が多い企業:自主的に学ぶ意欲がある人に適しており、自分のペースで成長を促すことができる
元SaaSエバンジェリストの筆者
自身が何を重要視するのか、価値観に合った企業選びをすることが大切です。この記事では3つの選び方を紹介しましたが、選び方はこれだけではないので、自身のなりたい姿や強み、働く上での必須条件について改めて考えてみるのも良いでしょう。

まとめ:未経験からSaaS営業に転職できるのか?

SaaS営業に未経験から挑戦しようとする方にとって、SaaSの基本概念、業界動向、営業の仕事内容、未経験でも募集の多い職種や年収、キャリアパスと年収推移、求められるスキル、さまざまな企業規模や提供サービス別のSaaS企業を理解することが重要です。この記事が自分のスキルや関心に合った職種を見つける参考になれば幸いです。

*1:自社調べ:完全なSaaS提供企業の求人以外の関連職種も含みます

  • この記事を書いた人

Kentaro Takahashi

Salesforce.comにてSMB向けのSaaSアプリケーション群のエバンジェリストに従事。SalesforceWorldTourTokyo2019登壇・ウェビナー主催、登壇多数。その後IT系ベンチャー企業で事業責任者、執行役員を経て独立。

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